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2006年2月 8日 (水)

ホーボー日記

真夜中過ぎになると聴こえてくる音に静けさが増す。そうすると、昼間くるくると忙しく色んな音に反応していた思考もまとまりだして、やっと自分自身を取り戻せたような気がする。昨夜は遅くまでPCと向かい合っていた。窓際にあるデスクは夜が更けて行く程外の冷気が足下からすごい勢いで押し寄せて来るようで、業務用の暖房もエンジン全開に動いている。あんまり何かを語りかけてくるように唸っているものだから、ふっと思考の世界から戻ってみると、窓に激しくぶつかる堅い音が聴こえてくる。やっと立ち上がって、ブラインドを押し広げ外を見てみると、どれぐらいの時間私は思考の世界を歩いていたのか、道路はすっかり真っ白に塗り替えられ、規則正しい足跡と少しS字にうねった足跡が残されていた。こんな時間だから帰り道なのだろうが....。歩いてゆく様まで思い浮かびそうな足跡だ。コインシャワーからどてらを着て風呂桶を持った男が出て来た。空を見上げて、白い息を吐いた。サンダル履きだ。そんなに降ると思っていなかった様子。あわてて家路を急いで行った。

雪は一層夜の静けさを深く誘っていく。雪の降る日には必ず思い出す。そういえば、この部屋へ来た初めての夜もこんな夜だったなと。そしてあの頃の心もよみがえる。あれから3度目の冬。今では遠い昔のような気がする。私は改めて自分の部屋を眺めた。そして人生って不思議なもんだなとつくづく感心した。そろそろゆっくりお風呂に入って思考も身体も休めよう。雪はまだしんしんと降り続いている。

今夜はこのまま雪の音に抱かれて眠ってしまおう......。

雪の子守唄は私を久しぶりに深い眠りへと連れて行ってくれたようだ。今朝は久しぶりに爽快な目覚め方をした。空にはまだどんよりと雲が重くのしかかっているが、屋根に積もった雪が遠くからの太陽の光でやさしく輝いている。まだ昨日の余韻を残したようなこんな朝。好きだな....。好い事が起きそうな予感。
ここ10年、2月は悲しい月だった。だから条件反射的に鬱ぎがちになってしまっていたのだが.......。なんだか子供の頃の気持ちを思い出したようで、外を思いっきり駆け出したくなった。この街で一人で過ごす時間に慣れて来たのかも知れない。ゆっくりと朝食をとってから街へでた。久しぶりの人込みの中、急にとても不安になってきた。私は一体何者なのか?何故この街にいるのだろう?このまま歌い続けて何処へ行くのだろう?地下鉄の駅から新宿の街へ出たとたん一瞬尻込みした。私の全ての時間が止まってしまった。ぐるぐると思考はネガティブに交錯して行く。みんな忙しそうにどこかにむかって行く。私は何かを探しに街に出たと言うのに、街に飲み込まれそうになりながら本屋へと駆け込んだ。このままではダメだ。誰かの話を聞きたかった。直木賞受賞の文字と町田康の名前が飛び込んできたので思わず手に取ってページを開いてみた。そこにはパンクの世界に名を馳せた男の日常が書かれてあった。パンクの世界で生きてきた現実。自由について。自分というもの。読んでいくうちに地に足が着き始めた。私も私として生きている。自分自身の意見が生まれたのだ。なんだか久しぶりの街に、思考はとても大きなテーマをかかげていたようだ。そういえば、こうして書店に並べられてる本を書く作家のこの人と京大西部講堂の維新派の舞台で一緒だったな。まだ子供だった私には衝撃的な人だった。そして今は作家。人は生きてる。そして、人生はなるようになる。行ってみよう。自分の思うままのどこかへ。
ああ...。単純なのか複雑なのか。ネガティブなのかポジティブなのか。

螺旋を描きながら今日もふらり日が暮れるまで.......

それで良いんじゃない?それが生きるって事じゃない?結構楽しンで旅してるじゃない。
誰かがそう言ったのを思い出した。
私は再び街の人込みの中に出た。今度は街の一部に溶け込んでいくように.....。しっかりとした足取りで。
まだ新しい曲はかけないかも知れない....。空には三日月がくっきり輝いていた。明日はきっと晴れるだろう..........

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